縦断的MRIデータに基づく成人期気分障害と
関連疾患の神経回路の解明

広島大学 大学院医系科学研究科

概 要

 成人期の気分障害(うつ病, 双極性障害), 不安症, 強迫症, 統合失調症, 閾値下うつおよび健常成人を対象として, MRI脳画像及び付随する臨床データ等を縦断的に取得します. これらのデータセットを用いてAI技術を応用して解析することにより, 双極性うつとうつ病の鑑別法, 治療反応性(臨床経過)の予測法, 5疾患のMRI回路にもとづくバイオタイプなどを提案します. また, 閾値下から閾値上うつ病へのMRI画像の変化を評価することで発症メカニズムの解明していきます.

目 標

 縦断的MRIデータに基づく成人期気分障害と関連疾患の神経回路の解明

応用例

研究成果より, 以下のような臨床応用を目指します.
●臨床的に困難な双極性うつとうつ病の鑑別法, 治療反応性(臨床経過)の予測法, 併存が多く, 臨床症候が重なる5疾患のMRI回路にもとづくバイオタイプなどを提案します.
●閾値下(ハイリスク状態)から閾値上(うつ病)へのMRI画像の変化を評価することで発症メカニズムの解明に資する知見を得ることから, 効果的な介入プログラムへの応用を目指します.

成 果

 安静時10分間の脳活動を測定するMRI検査より, うつ病の中核群とされるメランコリア特徴を伴ううつ病に特異的な安静時脳機能結合を抽出し, 人工知能(AI)を用いて高い精度の判定による新たな診断法を開発しました.
 また, 抗うつ薬治療(SSRI)により変化がみられない脳機能活動が特定されたことより, これを標的とした新しいうつ病の治療法開発が期待されます.

研究者

岡本 泰昌

利用する設備

fMRI

MRI(機能的磁気共鳴画像)

TMS